おおきく振りかぶって

これ面白い!面白いよ!と言われ、野球漫画なんてどれも同じだろと買わないことへの理由付けをしていたけれど、全く読まないのもアレなので1巻だけ買って読んでみた。実は他に「イエスタディをうたって」と「いぬばか」と「ラバーズ7」と「並木橋通りアオバ自転車店」の1巻も同時に買ったのだが、その中で次の巻が早く読みたい!と一番思わせたのがこのおおきく振りかぶってだったりする。
で、読んでみるとぶっちゃけ面白い。新設された硬式野球部のお話で、高校野球にスポットを当てている漫画なのだが、抽象的に頑張るとかそういう姿を描いているわけじゃなく、徹底して心理描写に拘っているところが凄い。ぐいぐい引き込まれて続きが読みたくなって、あっという間に7巻まで買ってしまった。
普通の野球漫画と明らかに空気が違うんだよね。練習時に行うメンタルトレーニングとか試合時の心理戦とか、内側からの描写が本当に多い漫画。そこがまず新鮮。ついで、メンタルトレーニング部分での説明が、実際に野球だけに絞らなくても普段の生活なんかで活かせばより豊かになるんじゃないか的Tipsばかりで役に立つ。そういった部分は身近に感じるんだよね。あれ?ちょっと頑張れば自分でも出来るんじゃね?みたいな。自己啓発とかライフハックに繋がるものがある(かもしれない)。
話戻して心理描写について。例えば、よくある野球漫画ではここで一発打てばサヨナラという場面で周りの連中が皆一様に「打ってくれます様に」と祈り、その結果見事に打って逆転劇を演出、とかあるわけですが、おお振りの場合そういった傾向は見られない。やらないというか、そんな外側から見た野球は描いてないんだよね。そういった場面になった場合は投手捕手打者監督の視点から内面が詳しく描かれる。私も野球は外から観て楽しむ人なので細かい戦略とかはワカラン人*1ではあるけど、それでも登場人物たちが知略を巡らせて読み勝ったときに生まれる快感みたいなもの(モモカンが身震いする場面とか)は、読んでいるこっちも一緒に共感できて実に楽しい。誰かさんが「野球は知的ゲーム」と言ったのがよくわかる。加えて、私みたいな野球に詳しくなく戦略がわからない人でも十分楽しめるのがこの漫画の素晴らしいところ。巻末にちょっとした解説もあったり親切だ。メンタルトレーニング部分と併せて、野球に詳しくない人にもオススメしたい。
7巻までで、練習試合1試合、地区予選1回戦途中までしか消化していないので、この先このテンポで続けるとなるととんでもない量になるんじゃないかとか思ったり。
しかし、高校野球でこんなに考えてプレーしてるんですかね。野球部入ったことないのでわからないけど、本当だったら野球部員って実は相当すごくね?

*1:昔のNANDA!?とか観てもサッパリでしたorz